を愛する変わり者の
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を愛する変わり者の
「ガール?オグ?ナドラクの緊迫状態についてですか。そんなことは、われわれだってとっくに知ってるじゃありませんか」
「やつの警告はそれよりもっと急を要するのだ」
「そんなふうには見えませんでしたがね」
「それはおまえがやつのことを知らないから」
「おじいさん」だしぬけにガリオンが口をはさんだ。「どうしてあの老人にはぼくの剣が見えたんだろう。誰にも見えないようにしたはずなのに」
「やつにはすべてが見えるのさ、ガリオン。木をひと目見ただけで、十年後その木に何枚の葉がついているかをぴたりと答えられるのだ」
「じゃあ、魔術師なのかい」
「わしの知る限りでは違うな。あの男は単に山老人にすぎん。やつが世の中の動きを知らないのは、知ろうとしないからだ。もしその気になれば、世の中のあらゆるできごとを、たちどころに知ることができるだろう」
「それならスパイとしてひと財産築けるだろうに」シルクが考え深げに言った。
「やつには財産など必要ないのさ。もし金が必要になれば、例の鉱脈へ行けばいいのだ」
「だけど、もうどこを探せばいいのか忘れたって言ってたじゃないか」ガリオンが異議を唱えた。
ベルガラスはふふんと鼻を鳴らした。「やつは一度見たものを忘れることなぞないさ」老人は遠くを見る目つきになった。「世の中にはまれにあのような人間がいるものだ。世の人々の営みをまったく意に介さないですむ人物が。それもまたなかなか悪くない生き方のようにわしには思える。もしわしが限りある人生を生きる身だったら、迷わずやつと同じことをしたかもしれんな」ベルガラスは突然あたりを見まわした。目には警戒の色が浮かんでいた。「向こうの小径を行くことにしよう」老人はそう言いながら、草地を曲がりくねって進む、かすかにそれとわかる踏み跡を指さした。太陽と風雨にさらされたまっ白な丸太がそこかしこに散乱していた。「やつのいうことがそのとおりだとしたら、これからは大きな集落を避けていった方がよかろう。あの小径は、人のあまり住んでいないはるか北の地に通じておるのだ」
しばらく行くうちに、傾斜は下り気味になり、一行は山々から広大なナドラクの森をめざして、快適に馬を進めたYumei好用。
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