ここではふるい

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ここではふるい

ジェイロブはにやりとした。最後の一行は、〝新聞〟の格好のネタとなっている。どのチャンネルをまわしても、居留地を訪れた人間たちが皮をはがれ、それを蛇のような格好をしたふたりのETが満足げに見ている、という漫画が必ず出てくるのだ。
 頂上付近にくると、あたりには車がいっぱい止めてあった。ジェイコブの車が頂上まで登りつめると、境界が視界にとびこんできた誰蒼老了誰的容顏韶華流年, 誰又輕許了誰的海誓山盟
 荒涼とした土地が東西にどこまでも広がるなかを、今度は途切れることなく、床屋のポールの列がずらりとならんでいる。なめらかなポールの多くは、ほこりにまみれて色が見えない。ボールのてっぺんにのっかった丸いランプにも、土ぼこりがつもっている。
 ありふれた精神波感知器《Pポスト》だが、の役をはたし、一般市民はET居留地に出入り自由だが、要観察者には立入禁止を、異星人に対してはなかにとどまっているようにとの、警告の役目をはたしていた。それは大半の人々がわざと忘れようとしている事実を、露骨に思いださせるものだった。かなりの割合の人間は、要観察者として送信機が埋めこまれている。多数派が彼らを信用していないからである。多数派は、地球外種族と要観察者──心理学的テストによって〝暴力性向〟があると判定された人間──とが接触することを、防いでおきたかったのだ。
 境界は、立派にその役をはたしているようだった。ふたつの丘の群衆は、頂上にいくにつれてますます増えていき、服装もより過激になってはいたが、Pポストの列のすぐ北側で、ひとかたまりになってとまっていた。〈開化派〉のなかにも〈毛皮派〉のなかにも、一般市民はいるのだろうが、その連中も、仲間とともにこちら側にとどまっている。礼儀のためでなげれば、抗議のためだろう。
 群衆は、境界のすぐ北側あたりで、いちばん密集していた。〈開化派〉も〈毛皮派〉も、すばやく通りすぎる車に、プラカードをふりまわしている。
 ジェイコブはガイドウェイにとどまったまま、強烈な陽光を遮るため、目の上に手をかざし、まわりを見まわして、ショーを楽しんだ。
 道路の左手では、喉もとからつまさきまで銀色のしゅすで身を包んだ若い男が、こう書いたプラカードを掲げていた。「人類も知性化されたのだ──われらが従弟、ETを外へ!」
 道路をはさんでちょうどその反対側には、石槍を持った女がいて、その柄に結びつけられたのぼりには、こうあった。「人類は自力で進化した……イーティーどもは地球を出ていけ!」
 彼らの論争は、このふたつのメヅセージに集約されていた。いまでは世界じゅうが、正しいのはダーウィンの信奉者なのか、それともフォン・デニケンの信奉者なのか、固唾を呑んで見守っている。〈毛皮派〉も〈開化派〉も、人類をまっぷたつに割った哲学的見解の、
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